溶け行く心

手放した後、見ることさえ怖かった。

せっかくの決意が再び揺るぎそうになってしまうのを恐れたから。


それでも、完全に溶けてしまったあとには
影響など受けないのだ。

影響を受けない自信が芽生えた今だから
もう頑なに拒否する必要もなし、
そして
心から幸せを願えるようになった。






男の人っていうのは
いいかっこうしたがりで
特に女の人の前では、
良いところ見せたがるものなのかもね。

これ、世界共通でさ。

私、いろんなものがダメダメでね
知識もぜんぜんなくて、おばかさんで
おっちょこちょいで、
いつも無邪気に振舞って人を心配させてばかり。

でもそんなところが、「かわいい」って思ってくれる人がいる。

おせっかい、やきたがりやさんの彼は
いろいろとアドバイスなんかして、私の“先生”に自らなってくれる。

精神的な問題がからんで
ピアノ演奏失敗しちゃったこととか
私の本当の実力を知ってるからこそ
問題を真剣に考えてくれるからこそ
耳の痛いことを言ってくれるんだ。

わたしって、ダメだなぁ…と心は痛む。
彼の言ってることがいちいちもっともなので、
なおさら痛むけど、

その気持ちがありがたくて。



男の人を、心から尊敬出来ないとき
恋に落ちるのは難しい。

女性として不幸せなのはそんなときだ。

心からの尊敬が
女性としての熱いまなざしを作り出してくれる。
そんなときこそ、女に生まれて良かったときだ。

男の人に恋をして
その人の何かを“受け止める”
性的に受動的な女という生き物に生まれたからには
受け止めるものが心からの望みのものであり、受け止めることが上手く行ってるときこそ幸せだ。





ところで精子にはその人の魂が詰まってるんだって。


女っていうのは、
受け止めた魂の中に入っている要素…
愛情、希望、好奇心、攻撃性、ストレス…
それらを愛情で溶かして、自らの中で消化させ、新たな愛情を産む生き物なんだよ。